小説の書き方虎の巻!上手な物語のつくり方を伝授

純文学なら『新潮新人賞』に応募する手段もある!

『新潮新人賞』は、雑誌『新潮』に掲載となる新潮社主催の新人賞です。募集しているのは文学系の作品であり、第40回からは小説部門のみとなっています。400字詰め原稿用紙換算で250枚までです。短編も応募可能です。

未発表作品に限りますし、同人誌に既に発表している作品や他の新人賞に応募している作品も応募できません。賞に関しては、正賞が特性の記念ブロンズ楯で副賞は50万円です。『新潮新人賞』は純文学系となる正統派な新人賞です。

高いレベルとなっていて、オリジナルの文体や文学観、そしてプロットについて質の高い作品の出来栄えが必要とされるでしょう。存在感を持ったキャラクターが登場し、“人間”といったものがしっかりと描かれている作品が受賞しやすいのではないでしょうか。

一人称や三人称に限らず、主人公に視点を合わせて主人公の心理描写をきっちりと抜かりなく行うことが非常に大事になってきます。辻褄が合わないということや、壊滅的になっていたとしても問題はないのです。

自身の書いた作品が納得できるものである上に文学性がある作品であるなら、きっと評価されるでしょう。作者がどれだけ苦しんだか、将来性がどの程度あるのかといった点がポイントとなります。

『新潮新人賞』の過去の受賞作品を見てみると、短編作も多いのですが受賞後に新作も一緒に併録する形で刊行されるという傾向になっています。2005年の第37回の際には現在審査員を務めている田中慎弥さんが受賞されています。

『冷たい水の羊』という作品での受賞でしたが、『新潮新人賞』の最終選考まで残ったという知らせを受けたことが、何よりも嬉しかったとご本人はおっしゃっています。誰かが読んでくれたのだという事自体にもこの際に実感できたとも言います。

その際には、アマチュアだったこともあってか手ごたえを感じたのです。田中さんが『新潮新人賞』に応募を決意したのは、『日蝕』という平野啓一郎さんの今の時代にはないような、文章や技術を持って書かれている作品が『新潮』に掲載されていたことがきっかけだったと言います。

応募をしたのは2度目であり、もし落選したら通常の仕事をしていく可能性もあったものの、サラリーマンとして他の仕事をすることは自身には向いていないだろうという考えもあったとしています。

田中さんが受賞された『冷たい水の羊』は酷いいじめを受けつつもそれがいじめだとは気づいていない男子中学生が描かれた作品です。自身がいじめに遭うということや関わることはほぼないとおっしゃっていますが、執筆するにあたり加害者側の立場から描こうとすると難しいこともあり、受けているいじめをいじめではないのだと考える主人公の視点で書くことにしたということです。

2010年の第42回には小山田浩子さんは2014年の第150回芥川賞を受賞しています。それに、次の年の『新潮新人賞』を受賞している滝口悠生さんは2015年の第37回野間文芸新人賞を受賞されていますし、翌年2016年には第154回芥川賞も受賞されているほどです。

こうしたことから、純文学系の『新潮新人賞』はとても波に乗っている新人賞であることが伺えるのではないでしょうか。